高校時代

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試合の時間が刻一刻と近付く。 コンドルは準備馬場でも暴れている、どうにか抑えようと工夫しているが初めての試合で興奮が冷めないようだ。 1番が呼ばれた、聞いたことの無い乗り手と馬だった。 そろそろ始まる。 「場内確認を行います。スタート、ゴール、OK板、入場門、退場門、ありがとうございます。」 アナウンスによる確認が終わり、 「1番…選手、…号。」 早足で入っていく1番の選手。 「ジリリリリィィィ……。」 ベルの音とともに駆け出しだ。 このコースは初心者でも帰ってこれるように簡単に作ってある。馬も乗り手も始めたばかりの頃はこういった簡単なコースで試合慣れや自信をつけるためだ。 1番は乗り手が初心者だった、障害を一つ飛ぶごとにバランスが崩れ鐙が外れ、必死に馬にしがみついているような状態だった。なんとかゴールを切りホッとした様子。 「2番…選手、…号。」 2番もさっきとあまり変わらない走行でゴール。次は優勝候補の大迫とテイクアウトの出番だ。 「3番大迫選手、テイクアウト号。」 馬場に入りまた一段と気合いが入ったのがわかる。しかし大迫もテイクアウトも落ち着いていて堂々としている。これだけで今までの試合と違う雰囲気が漂う。 敬礼をした。 ベルが鳴り、走り出すテイクアウト。
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