高校時代

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5~7番とスムーズに試合を終え、やっと8番、僕の順番となった。 コンドルとの初の正式な試合だ。期待と不安で胸が爆発しそうだった。 そんな気持ちをコンドルが忘れさせてくれた。 コンドルはまるで自分が勝つのが当たり前の様に堂々としていた。 アナウンスがなり馬場に入る。 敬礼をした。 やっと始まる、此処からが本当のスタートだ。世界を目指す僕等の勝負が今、ベルの音と共に駆け出した。 コンドルは落ち着いていた。 これまでのコンドルを見たことがある人が自分の目を疑っただろう。 まるで僕の考えがわかっているかのように狙ったコースを、思った通りのスピードで、ずっと変わらないリズムのまま駆けた。 こんなこと今まで馬乗りをしてきて初めてだった。 気持ちいい、そんな事を思いながら障害を飛んだ。 幾つもの障害を飛んで、この最終障害を飛べば終わる。 何故か終わらせたくなかった。しかしコンドルは矢のようにゴールを切り、最初の試合を終わらせた。 試合を終えた後も少しの間、僕は嬉しくて笑いが止まらなかった。コンドルに愛撫をして、「よくやった」って声をかけた。 コンドルも気持ち良さそうに鼻を鳴らし、「どうだ」と言っているようだった。
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