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ベルの音とともに先ほど彼女が通ったコースと一緒の場所を通る。
『いいペースだあとはあのキャバレティーをどうするかだな…。』
馬というのは物覚えがよく同じ事を繰り返すことがままある。
いい形でゴールまでいけばいいが、失敗するとその失敗まで繰り返すのである。
だから先乗りといって上手い人が乗った後の馬は乗りやすくその逆もまたしかり。
ここで先ほどコンドルが立ち往生したキャバレティーが問題となるが……
何と何事もなくスムーズに跨いだのだ。
「なんであんな風に行けるの?」
「私もわからん、あのコンドルが誠君には心を開くのか。」
「今日初めて乗るあいつに負けるなんて。」
誠はタイム三八秒、減点無し。
彼女のタイムは四五秒、七減点。
「よく頑張ったなコンドル。」
誠はコンドルから下馬するとこっちに近寄り。
「僕はやっぱりコンドルに乗りたいです。お願いします。」
「千春いいね。」
「わかったわよ。もう何も言わないわ。」
「ありがとう。僕はコンドルをオリンピックに連れて行く事を約束するよ。必ず。」
こうしてコンドルと僕とが出会い。
僕等の長い長いオリンピックまでの長い長い道のりが開かれました。
僕はまだその時高校一年でした。
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