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そんな彼がいるのは雪山、その森の中にいた。周りは耳が痛くなる程の静けさが雪山を占めていた。
彼が雪山にて、猟銃を持ち、銃口を獣に向けているのは誰もがみても猟が目的であることが分かる。
樹が雪で白く体を染め、風もない。
そんな環境の中、銃口の先には一頭のシカがいた。
この冬を越すために樹の皮でも食べにきたのだろう。
シカは樹に前足をかけて頭を樹に近づけ、樹皮を食べていた。
男がゆっくりと撃つ準備をした。手には指だけが出るような手袋をしていた。
その手で銃のゲキテツをあげ、トリガーにかけていた指に軽く力を入れた。音をたてないように、静かに、銃口をシカに向け、目線を目標から離さずに。
シカは気配を感じたのか首を回して周囲を見ましていた。だが、再び樹の皮を食べ始めた。
風が周りの木々をゆらし、雪を男の周囲に降らせた。
そんな中、男の呼吸が徐々に静かになり、いつしか止まった。
山に大きな音が鳴り響いた。
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