親友

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「──そーた……?」 「おーい……完璧寝ぼけてるな、お前」 そのまま身体を起こそうと、腕を上に伸ばそうとしたとき、背中に痛みが走った。 「ッ……」 「はーい、起きたかなー? 奏ちゃん」 「うっさい……黙れ颯太」 鈍痛の続く背中を気にしつつ、目の前にいる颯太を睨みつけた。 二人分のカバンを持ってるあたり、授業はもう終わった様子。 「へー。5、6限おサボりな上に、カバンまで持ってきてやった親友にそんな態度?」 「翼は?」 颯太から自分のリュックを受け取りつつ、いつもならいるであろう人物について尋ねてみた。 元々、俺のリュックには筆記用具にルーズリーフが一冊。あとは財布しか入ってないため軽い。 だから背負ったところで問題はないだろう。 「翼は図書委員の当番。あと少しで来るかな? というよりも奏! またこんなにケガして……」 「平気だよ。つーか慣れてるし。あと今日はただの俺のミス」 それでも、颯太の顔は心配げに歪められている。 俺自身、本当にこのぐらいの傷は慣れっこだ。 昔からのこの性格のせいで、教師やら上の学年のヤツらに目を付けられやすい。 あとはなんかしらのちょっとした要因で一気に爆発。 ひょろひょろと、自他共に認められている俺でも、さすがに耐性も付くし、力も上がる。 今では相手にも数発返せるようになった。 「はぁ……それにしても、なんでこう……翼は言い出したら聞かないんだか……」 颯太を見、思い出したのは“お呼び出し”の前に二人から言われたこと。 “翼の誕生日、当日について”、だ。 颯太にも、俺の言いたいことが伝わったようで、苦笑いを浮かべていた。 「アイツの誕生日だから……一番の要望を叶えてやりたいんだよな……」 「だからって、な。俺なんて完璧な邪魔モンだろうが」 仲良しカップルの二人に、独り身の俺。 どう考えても不釣り合いも甚だしい。 しかも、だ。 これが一度や二度の問題じゃないからかなり厄介である。  
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