親友

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青稜とはウチの高校のこと。 すごく頭がいい!というわけではないけど、そこそこの進学率で、何気に倍率が高い。 他にも女子の制服が可愛いという理由もあるらしいが。 受験のときは、翼と二人、自分の勉強そっちのけで颯太に教えてた思い出がある。 「お兄ちゃんじゃ、教えられても余計に意味不明になるんだもん。だから翼さんにも教えてもらってるんだ!」 嬉々として話す楓花とは対象的に苦笑を浮かべている颯太。 せっかく遊びに連れてきた翼が、楓花に連れて行かれるところが容易く目に浮かぶ。 しかも翼ならノリノリでついて行きそうだし。 「そりゃ颯太も災難だな」 「そうでもないさ。翼も喜んでるしな」 笑う颯太に背を押され、玄関を上がったとき、奥から颯太のお母さんも顔を出した。 「あら奏ちゃん。早かったのね? 今日も泊まってくのよね?」 「は?」 やられた。 颯太と楓花は満面の笑みだから、そういう話で通したのだろう。 「あ、いえ……迷惑に── 「なーに言ってんの。ウチは旦那も転勤中だし、奏ちゃんみたいな大人しくていい子なら大歓迎よ」 ばしばしと強く背中を叩かれ昼間の傷が痛むものの、とても心地よい優しさというものも感じた。 颯太と楓花とは違い、小柄ではあるが、顔は楓花とそっくりである。 ……いくら優しさを感じると言っても、痛いものは痛いので、表情の変化に気づいた颯太に止められた。 「んじゃオレと奏は部屋行ってるから。夕飯できたら呼んでー」 両肩を支えるように押され、そのまま階段を上がっていく。 文句を言ってる楓花を颯太は気にせず流し、そのまま俺ごと部屋の中へ入っていった。 ────** 「ゴメンなー? 楓花のヤツ、奏をもう一人の兄かなんかだと思ってるみたいなんだ」 「別に構わねえよ。俺自身、楓花は妹みたいなもんだし、勉強ぐらい気にしねえ」 そりゃ、颯太に教えさせるぐらいなら、大丈夫だろ。 それに中学の範囲だし。 申し訳なさそうに話す颯太に、俺は「気にするな」と笑っていた。  
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