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それでも、断り切らなかったのは事実。
イヤだイヤだと思っていても、俺自身、二人のことが“大好き”だから、久しぶりに遊べるとなって、自然と心躍る。
日曜か。
なにすんだろうな。
どんどんと上向きへと変わっていく思考回路に、自分でも軽く呆れた。
そして、今自分が向かうべき場所を思い出して、冷水を頭から浴びせられたかのように、一瞬にして気持ちは冷めた。
────**
昼休みの体育館裏。
まるでマンガのような展開に、正直飽き飽きとしながら、目の前へと視線を移した。
“いかにも”な三人組み。
茶髪に金髪にもう一人茶髪。
痛々しいほど開けられたらピアスに、こちらを睨みつける顔。
全くもって飽き飽きだ。
そのうちの真ん中のヤツ──めんどくさいので金髪と命名。
金髪はこちらへと歩みを進め、170ちょっとの俺を見下ろす。
そして口を開き、
「生意気なんだよ、おめえ」
さもお似合いな言葉を告げた。
なんというか、俺にはこんなヤツらにとくに“なにか”をした記憶はないし、恨みを買うような真似もしていない。
まあ、理由なんてあってないようなモノ。
俺がこうやって呼び出される理由。
それはこの俺の恰好のせいだ。
中学に入る前に染め上げたかなり明るい茶髪に、昔から少しずつ開けたピアスが両耳合わせて5つ。
ウチの高校はなにげに真面目な者が多く、茶髪なだけでもかなり目立つ。
それに俺はこんな性格だから、すぐにこうやって意味もなく呼び出されるのだ。
「オイッ! 聞いてんのか、蒼井!」
聞く気などさらさらない。
とくに表情を変えずに、呆然と目の前の金髪を見つめた。
“なら何故、殴られると分かっていてこんなヤツらの呼び出しに応じるのか”
その理由も簡単。
颯太と翼。
この二人を巻き込みたくないから。
俺自身、貶されようが殴られようがどうでもいい。
だけど二人には……俺のせいで傷ついてほしくないのだ。
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