無くしたモノ

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ご近所からは仲の良いと評判の家族…深上一家が立派な一軒家に住んでいた。  ドタドタ‥ 「あら?また侑里と翔太じゃれているのかしら?」 ふふと上品に笑う女性は侑里の母―深上文子。 「なんだか‥いつもより騒がしいぞ?母さん;」 苦笑いをするのは父の賢太郎。 「母さ~ん!姉ちゃんが熱でキレたぁ;」 半分泣きそうな顔で嘆くのは侑里より三つ下の弟―翔太だ。 「違う!!熱もあるけど、翔太が私のリングを壊したのよ!」 「あら、駄目じゃない;翔太」 「わざとじゃないよ!それに謝ったもん」 「あら~…;侑里。謝ったのなら許してあげて、ね?それに熱出てるんだから寝てなきゃ駄目じゃない。後で薬買ってくるから」 「リング…僕が新しいの買ってくる…」 恐る恐る言う翔太に、侑里はふて腐れながら 「……寝る。」     それが最後だったとは―侑里はまだ気付かない。   ≫≫≫≫
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