7人が本棚に入れています
本棚に追加
「おお、父上。何か用かな」
苦笑いで目の前にいる当主、父親に訊ねる。
「今日はお前に仕事を与えようと思ってな。いつも女の尻を追いかけてイタズラばかりするお前でも時期に当主になる。そのための器を磨かせる」
「ええ~、やだぁ」
「とりあえず東の森の奥に住む魔術師を訪ねてもらう。そして彼から魔導書を借りてきてほしいのだ。何、話は通してある。ただのお使いだ。」
説明を終えたセイムにカイルが訊ねる。
「なあ、父上。その森ってかなり危なくなかったっけ?」
「ん、気のせいだろ」
即答するがこの会話を聞いていたリザは目がひきつっている。
「あの、お言葉ですが。当主、彼を一人であの場所に行かせるのは考えものでは」
リザが心配そうに言うとカイルが、
「そうそう、俺一人にあんな危険な場所は無理だって」
この屋敷から東に位置する場所にある森は様々な魔物が生息しており無闇に立ち入るのは危険だということは誰もが承知している。
「誰が一人で行かせると言った。大丈夫だ、リリアに護衛役を頼んでおいた。フライム家の当主にも了承済みだ」
「やった!リリアか。なら安心だ」
カイルは喜びの表情を浮かべる。
最初のコメントを投稿しよう!