Pride of Archer

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黒狐に身体の各部を撃たれ、気を失う事も出来ないまま痛みにもがく標的達。 両軍が撃ち合い、流れ弾の嵐が吹き荒れる戦場と化したこの街では、手負いの子供に誰も救いの手など差し延べてはくれない。味方の衛生兵でさえ…… 黒狐をどす黒い感情が満たしてゆく。 痛いだろう。助けて欲しいだろう。お前達の神様にでも祈るといい。 なぁ、宗教ってやつは、そうものなのだろう? 魔眼の射手。 お前が必死で標的の頭を狙っていたのは、そういう事だろう? せめて痛みを感じさせないように。この戦場で、聖人気取りか?そうして死んだ後は天国ってヤツに行けるのか? 神様に救われるのかよ。 「笑わせるな!」 戦場を進み行く兵達に、天国に行く資格がある者なんか一人もいないのだ。何故ならば、此処こそ地獄そのものなのだから…… その時……射手の位置から銃声が聞こえた。 銃声は六発。 苦しみ、もがいていた、子供達の数。 太陽が真上に上がる頃。 両軍が攻防を繰り広げるこの戦場で、今、 二人だけの小さな戦争が始まろうとしていた……
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