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射線でこちらの位置が敵に読まれたのか?
「何処から撃った!?」魔眼と呼ばれた射手の鋭い眼光が、500m程離れた瓦礫の中に小さな光を捉えた。
太陽の光が、ライフルのスコープに反射したものだと直感で判断する。
「くっ!」
危険を察知した射手は、狙撃射線の陰になるよう窓際へ身を隠す。
手元にあるライフルから外したスコープで、光の在った場所を確認しようとした、その時……ふと疑問が生じた。
『撃たれたのは、何故
ハワード少尉だった?』
敵兵ならば、第一に
狙撃手の己を狙うはず。
それに、あの距離から少尉の額を的確に撃ち抜く技術…まさか。
覗いたスコープの先に映った人物は自軍の軍服。悪意の篭った笑みと共にライフルをこちらへ向けている。
見知った顔、過去の友。
度重なる進行で精神を病み、殺しに酔い、狂ってしまった戦鬼。
「やはり貴様か黒狐!」
黒髪で狐のように狡猾な性格。主に静止物の遠距離射撃を得意としている彼は、自らをそう呼んでいた。
軍は奴に私を監視させていたのか?
「あぁ…」
『撃たなければ殺す』
という事か……
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