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果物ナイフを磨ぎ終え、タオルで手を拭きながら、私は自分の部屋に戻った。
そして、先程磨いだナイフを明日学校に持っていく鞄の中に入れて……。
よし、準備はできた。
「待っててね信君。もうすぐ……もうすぐだから!」
私はベッドに入る前に、少し椅子に座って信君のことを考えてみた。
最初に彼と出会ったのはいつだったっけ……?
あの日は確か、私が貧血で倒れた時だったかな。
校庭の隅で貧血を起こしてしまった私を、背負って保健室まで運んでくれたんだっけ。
気付いたらいつの間にか保健室のベッドの中にいて、横のパイプ椅子に信君が座っていたんだよね。
私が目を覚ました後、すぐに保健室から出て行っちゃった信君……。
あれからずっと捜したんだよ?
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