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桜がはらりはらりと駿の頭上から舞散る。
駿は約束を交わしたあの日から、約束を交わせなかったあの日から一年経って、桜へと出向いた。
公園の奥まった場所にある、人気のない広場。
駿とりつの約束の場所。
桜の下へと歩く中で、駿は思い出す。
りつの笑顔を、怒った顔を……泣き顔を。
あの日も泣かせてしまった、その想いが駿の心を今も締め付ける。
駿はあの日りつが立っていたその場所に座り込み、桜を背に目を閉じた。
桜が咲き乱れ、風が花びらを舞い踊らせる。
暖かく、温かく、駿を包み込んでいく。
その時だった……
「おやぁ、駿、何やってんの?」
そんな懐かしい声が駿の耳に届いたのは。
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