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 「ごめんね、私ひどいこと言ってるよね、でもね、私はあなたに生きていて欲しいの」 今度はりつの独白を駿が聞いている。 「あなたはきっと結婚して子供が出来て幸せになれる、私はあなたの傍にはいられないけれどいつでも空から見守っているわ」 りつは駿に笑顔を向ける。 その笑顔に駿は負けそうになるが、それでも反論する。 「嫌だ、嫌なんだ!! どうして笑えるんだ、どうして俺の幸せを願えるんだよ……一番辛いのはお前じゃないかぁ」 情けない声で駿は喋り続ける。 「お前だって、俺と一緒にいたいだろぉ、俺は一緒にいたいんだよ、頼むよ、連れていってくれよぉ」 足から力が抜けて、駿はりつにすがりつくような格好になった。 りつはすがりつく駿の頭に手を置いて頭を優しく撫でた。 「……じゃあ、約束をしよっか。あの日出来なかった約束を」 駿は顔をあげ、りつを見上げる。 「やく、そく?」 りつは満面の笑顔で答えた。 「うん、あなたが人生を全う出来た時、もう一度この桜に会いに来て」 りつは小指を差し出した。 駿は慌てて立ち上がる。 「その時には、私と一緒に行こう、約束だよ?」 「あぁ、約束だ」 駿は差し出された小指に自分の小指を絡め、約束を交わした。 一瞬だけ風が強く吹き、駿の視界を奪った。 駿の視界が戻った時、そこにはもう誰もいなかった。 約束だけを残して、りつは消えてしまった。
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