第五話 ―夜の花―

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暑い…。 今年の夏は暑すぎる…。 自分がチョコレートだったら、 間違いなく溶けているだろう…。   クーラーをガンガンにかけ、 作曲していたら、 彼女からメールが来た。   『明日、 花火大会があるんだけど、 一緒に行かない? 場所は、先輩と初デートした所。 時間は、21時からです。』   返事は勿論…。   『OK!』   そして、次の日…。   「ゴメン~。遅くなって。」   先に着いたのは自分だった。   「あ、平気平気。今着たとこ。」   本当は、30分前に着いた。 外見はしっかりしてそうだが、 以外とマイペースな彼女。   そんな所が、また好きになる…。   「場所、取ってあるから。」 「本当?ありがと♪」 「はいはい。」   そして、始まった…。   真っ黒の土に、 黄色や青の花が、 綺麗に咲く…。 時には光の噴水も…。   時間を忘れ、楽しんでた。   ふと時計を見ると、23時。 花火は終わり、 余韻に耽っていた。   「今日は楽しかった♪ また、行こうね。」 「もち!」 「先輩…。」   なんか良い感じのムード。 そっと、彼女を抱きしめる…。   「嫌…。」 「え…?」   びっくりしたのだろうか…。   「先輩、ごめんなさい…。 クラスに、 好きな人がいるんです…。」 「………。」   返す言葉が、 しばらく見つからなかった…。   「そっか…。頑張れよ!」 「先輩…。」 「最後に、一緒に帰っていい?」 「うん!」   明らかに無理してる…。   あのメールは?あのキスは? あの一緒に見た夕日は…?   その人はどんな人? いつから好きなの? これで終わってしまうの…?   色々な疑問が、 頭の中を駆け巡る…。   「頑張れよ!」 「今までありがとう~!」   そうして、二人は別れた…。
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