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気付くと部活終了の時間。
彼女は
終わりのミーティングをすませ、
「一緒に帰ろ♪」
と言った。
返事は勿論、
「OK!」
彼女と二人で帰るのは始めてだ。
自分はやたらと周囲を気にする。
「先輩、面白い…!」
「え、あ、そう…?」
始めて間近で見る彼女の笑顔…。
心が癒される…。
「あ、海行かない?」
「え、良いよ♪」
唐突の質問に少し戸惑った。
静かな海に、夕日が空を赤く染め、
その光りが海に反射して輝いている。
「綺麗…。」
そう言うと彼女の頬に
橙色に輝く雫が
ゆっくりと伝わった…。
「感動しちゃった…。」
無理に笑みを作る彼女…。
「大好き~!」
彼女が夕日に向かって叫んだ。
それに次いで、自分も叫ぶ。
「うちも~!」
二人は顔を見合わせ、
お互い微笑んだ。
楽しい…。とても…。
ずっと、こうしていたい…。
そんな想いを遮るように、
雨が降ってきた…。
慌てて傘を探す彼女…。
(パサッ)
雨の海の中、花が一輪咲き、
自分と彼女を優しく包む…。
「あ、ありがとう…。
帰ろっか♪
雨、降ってきちゃったし。」
「…うん!」
まだこうしていたかったが、
風邪を引かせる訳には
いかないので、
駅へと向かった。
二人は花に包まれながら…。
「今日は楽しかった~。
また一緒に帰ろうね。」
帰ろうとする彼女を止める。
「待って!これ、持ってきな。
傘、無いんでしょ。
返すのいつでも良いから。」
「え…、でも…。」
「うちは平気!
それより、風邪、引くなよ。」
「…うん!ありがとう!」
また、よろしくね。
…うん!
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