第四話 ─傘の花─

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気付くと部活終了の時間。 彼女は 終わりのミーティングをすませ、   「一緒に帰ろ♪」   と言った。 返事は勿論、   「OK!」   彼女と二人で帰るのは始めてだ。 自分はやたらと周囲を気にする。   「先輩、面白い…!」 「え、あ、そう…?」   始めて間近で見る彼女の笑顔…。 心が癒される…。   「あ、海行かない?」 「え、良いよ♪」   唐突の質問に少し戸惑った。   静かな海に、夕日が空を赤く染め、 その光りが海に反射して輝いている。   「綺麗…。」   そう言うと彼女の頬に 橙色に輝く雫が ゆっくりと伝わった…。   「感動しちゃった…。」   無理に笑みを作る彼女…。   「大好き~!」   彼女が夕日に向かって叫んだ。 それに次いで、自分も叫ぶ。   「うちも~!」   二人は顔を見合わせ、 お互い微笑んだ。   楽しい…。とても…。 ずっと、こうしていたい…。   そんな想いを遮るように、 雨が降ってきた…。 慌てて傘を探す彼女…。   (パサッ)   雨の海の中、花が一輪咲き、 自分と彼女を優しく包む…。   「あ、ありがとう…。 帰ろっか♪ 雨、降ってきちゃったし。」 「…うん!」   まだこうしていたかったが、 風邪を引かせる訳には いかないので、 駅へと向かった。   二人は花に包まれながら…。   「今日は楽しかった~。 また一緒に帰ろうね。」   帰ろうとする彼女を止める。   「待って!これ、持ってきな。 傘、無いんでしょ。 返すのいつでも良いから。」 「え…、でも…。」 「うちは平気! それより、風邪、引くなよ。」 「…うん!ありがとう!」   また、よろしくね。 …うん!
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