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#1.
――戦場
ここは戦う者の土地。
この世で最も命の軽んじられる場所。
その渦中に入って行けるだけの力のないことくらい、自分自身よく解かっている。
戦況を見て、隙があれば動けるように。
遠巻きにそれを眺めていると、傷を負い逃げてきたのだろうか、林の中に入ってゆく浅葱色の制服の後ろ姿を捉えた。
召喚ができる者の減った今では、魔導の心得の有る者は専ら治療だけを行い、そのため戦力の要となるのは、騎馬隊と剣士だった。
剣を持ってはいない様だが、腰に鞘が括られている。
彼もまた、不運な剣士の一人になるのだろう。
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