#1.

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  摺り足で歩み寄ると、標的は木の陰に屈み、足の傷を確かめようと靴の紐を解き始めた。   (今しか、ない……)   殺すのは、奪うのは今しかない。   先送りは必ず、自分の首を絞めることになるのだから。   それが判るようになった今も、決して慣れることはなく、覚悟はきりきりと、胸のあたりを締め付けた。   (でも…っ)   緊張を狂気に変えて、今は踏み出すしかなかった。  
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