お盆のある日

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…お盆の期間というのは忙しいもんで、本家である家には特に沢山の親戚が集まる。 お母さんや女の人達は、バタバタと忙しそうだ。 私もこの歳になったのだから本当は親戚にご挨拶をし、お母さん達の手伝いでもすべきなのかもしれない。 しかし、親戚一同やらそんな大人数が集まる部屋で、よもやネタにされるなどまっぴらごめんだ。 この時期いつもじいちゃんと一緒に居た私なのだから、線香の一つくらいあげた方がいいのかもしれない。 しかし、じいちゃんのあの言葉が脳をよぎる。 私はぶんぶんとかぶりをふり、親友に電話をかけてみた。 三回のコールのあと、みえは電話に出た。 「あ、みえ?私だよ。わかる?」 《あー、ちー!!!》 みえの元気な声に安堵し息をつく。 「いま、どこにいるの?」 《お盆だから、家族で新潟!!!》 「あぁ、そうだったね。」 …今度は落胆のため息。 みえはお土産楽しみにしててね、だの暑さに気をつけて、だの 三言二言、話してから電話を切った。
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