お盆のある日

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じいちゃんの言葉を思い出す。 そして… …そういう事だったのね。 私は、仏壇の闇の中で蠢く無数の青白い手に腕をがっしりとつかまれたまま、ソッと瞳を閉じた。 …私のお母さんは、私が小さい時に事故で死んでるじゃない。 なんで忘れていたのかしら? 仏壇の中の、私の母と祖母の遺影がグニャリと歪んで笑った気がした。 お盆になるとじいちゃんから必ずと言っていい程言われてた。 《…ちぃ、約束だよ。送り盆の日が過ぎるまでは絶対に仏壇に線香をあげちゃいかん。》 じいちゃんの言葉には続きがあったのだ。 《…例え、誰に呼ばれても。 可愛いお前を、心配したお前のお母ちゃんやお祖母ちゃんが、お前を迎えにきちまうからね…。》 END
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