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「竜二くーん……何してるのかな?」
「げっ! ……み、未来(みらい)っ」
額に青筋を浮かべた般若……じゃなくて、女の子は、どうやら男の子と知り合いらしい。
ミカンみたいな髪の色に染めたショートカットに、悪戯っ子の少年っぽい印象がある顔立ち。多分、服装がジーンズにパーカーと言うラフな格好だから、余計にそう見えるのかも知れないけど……。
それよりも竜二と呼ばれた男の子は大丈夫かな?
顔が引きつって真っ青で、とても生きている人には見えないです、はい。
「な、に、し、て、る、の、か、な?」
にこやかに笑みを浮かべて額に青筋を浮かばせ、眉はピクピク、唇は悪魔のように歪ませている女の子。
その笑顔で軽く人を殺せると思うのですけど……でも、どこかで見覚えがある気がする。
「ナンパではないぞ。この子が道に迷って――」
「あんたは人生に迷ってるでしょ」
「いや、決して俺は人生に迷っては、えっ、いや……そのな、違うんだよ? これは」
更に引きつった顔をしている男の子。
……支離滅裂だよ。
自分で墓穴を掘って更に追い込んでる気がするけど、そんな事はこの際気にしないでおこう。本当に今のは自業自得だと思うし。
見ているこっちがつらくなるほどの冷汗を滝のように流し、必死に弁明している姿は何とも惨めを通り越してかわいそうな感じがする。
「まったく……。こんな所でナンパなんかしてっ」
目の前で必死に自己弁護をする男の子を一喝し、凄味のある睨みを効かせていたかと思えば、今度は盛大にため息を吐いた女の子は”やれやれ”とオーバーに手を広げて呆れ顔になっていた。
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