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――数分後。
「それにしても……遅いなあ」
隣にはさっきの女の子。
何度も腕時計を見ては辺りを窺うように視線を動かし、を繰り返している。
確か、待ち合わせをしているって言ってたけど、その相手がこないって事なのかな?
微妙に足が揺れているのは貧乏ゆすり? それとも地震を起こそうとしているのかな?
だけど、その雰囲気はとても怖いのは言うまでもありません。
「うーん……はあ」
待ちくたびれたのか、それとも攻撃の合図なのか、猫のように目を細めて背伸びをする女の子。
「あなたも、誰か待ってるの?」
「……ふぇ? あっ、は、はいっ」
次の瞬間、いきなり話しかけられて心臓がドッキドキ。
予想外の事に心臓がフラダンスを踊っているように暴れまわっているけど、フラダンスがどんなのかは知らない。だけど、結構ハードらしいってテレビでやっていたのを見た事が……って、今は関係ないか。
「そっか……友達?」
「え、えっと、昔こっちに住んで――」
何とかドッキンドッキンと暴れる心臓と気持ちを落ち着かせたが、女の子のうしろにゾンビがいた。
「うにゃっ」
顔は痣だらけ。服はボロボロ。どこかで凄惨な事故にでもあったのではないだろうかと思うほどの酷い有り様のゾンビが一匹。
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