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「剣士カイトよ、君には勇者の護衛をしてもらう」
カイトは玉座の間で素っ頓狂(とんきょう)な声を出しそうになるのを堪えていた。目の前には厳つい顔で長身の王様が居る。
王様の言った言葉が嘘だと信じたかったのだが、現実はそう甘く無く王様は再び告げる。
「もう一度言う、君には勇者の護衛を任せる。これは勅命(ちょくめい)であり覆ることは無い」
そう言った後で王はカイトに目配せし、謁見(えっけん)が終わった。
カイトは目配せ通り王の執務室に行くと、事情を知っている側近と王の二人待っていた。
カイトが執務室に入ると、側近が魔法を使って、室内を防音にし、それを察したカイトは口を開いた。
「どういうことですか?王様」
「すまんな、聖剣が抜かれてしまったのだ。お主には剣士として勇者に同行して貰いたい」
今は太平の世で、多数の種族との交易がある、その中には敵対していた種族もある。
一部の人々はそれを良しと思わず、今回の件に荷担している。カイトはその話を聞いて、溜め息を吐いた。
「あんな剣を抜いたぐらいで勇者だなんて、性格がまともじゃなきゃ本末転倒だろうに」
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