初めての町

3/13
前へ
/73ページ
次へ
自分が勇者であることも出汁にして、声をかけて回り、顔が良いが、しばらくは警戒されていた。 しかし、勇者に好意を持つ者が現れ、勇者は彼女の肩を抱いて場所を変え始めて、被害者が出そうになる。 それを見たカイトは、魔倉庫から吹き矢を取り、勇者へと放って眠らせて、周囲に謝罪しながら勇者を回収した。 勇者を背負って歩きながら、町へ行くたびの恒例になりそうな予感がし、カイトはまたため息を吐く。 傷は治療薬で消し、勇者を部屋へと運んだ後、カイトはシャワーを浴びて、汗を流し町に出る。 道中で狩った魔物を売りさばき、夕方に宿へ戻ると魔法使いと僧侶が部屋の前にいて、魔法使いが口を開く。 「アレンはどこ?」 「部屋の中にいるはずだ」 「アレンを呼んで、これから三人で食事に行くことにしたの」 魔法使いの問いに答えると、勇者を呼ぶよう言われ、暗に付いて来るなとも言われた。 それは予想の範疇で、カイトは魔法使いに従って、勇者を起こしに部屋に入った。 今回は弱い効果の睡眠薬なので、効き目はもう切れていて、カイトは勇者を叩き起こした。 「あれ、僕はナンパしてたはずじゃ?」 「夢でも見たんじゃないか?」
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

266人が本棚に入れています
本棚に追加