初めての町

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「着替え、持ってない」 「服が汚れるだろう?今までどうしてたんだ?」 「サーシャの服と一緒に魔法で綺麗にしてた」 僧侶の言葉に驚き、問いかけるカイト、僧侶は何でもないように返答し、それを見たカイトはため息を吐く。 「服の替えくらい持っておけ、何があるかわからないんだからな」 「苦労してるみたいだな」 カイトが僧侶を諭していると、その様子を見て通り魔が声をかける。 「お前は目的を終わらせに行け、夜間しか活動出来ないんだからさ」 「ああ、夜が明ける前にやっておくよ」 通り魔は目的を達成するため、夜の町を駆け出し、カイトがそれを見送っていると、僧侶が問いかける。 「知り合い?」 「ああ、旧知の仲だな」 可愛らしく小首を傾げる僧侶、今この場に変態がいれば、かなりの確率で襲われそうだ。 そう思いながら、カイトは率直に答え、続けて僧侶に言う。 「ついでに言っておくが、あいつに目配せして、僧侶達を斬るように仕向けたのは俺だ。 今のままでは魔国へは行けない、僧侶と魔法使いには厳しく、勇者は論外」 「そう、今日の戦いで実感した。戦うのは嫌だけど、戦わなくちゃ足手まといになる」
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