旅立ち

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「そのことは秘密にしてくれ、奴が下手に力を得ると厄介だ」 王様の言葉を聞き、カイトは思い当たることがありありとしていて、嫌な予感がしつつも尋ねる。 「もしかして、最近話題の疫病神の厄介払いですか?なら大丈夫ですよ。 勇者の試練にあれが耐えられっこありませんから」 聖剣は抜けば勇者と言う訳ではない、聖剣を抜いた者は勇者ではなく、勇者候補なのだ。 語ることは無いが聖剣には意志があり、勇者の試練を経てようやく勇者と名乗れ、聖剣の能力を十二分に発揮出来る。 勇者候補なら百分の一が関の山で、あの疫病神なら千分の一、下手したら億分の一も扱えないだろう。 厄介払いが出来て、そして仮ではあるが勇者が倒されれば、報復と言う名目で大々的に戦が出来る。 気に入らないかつての敵と、再び殺し合う理由が作れるため、何とも万々歳な状況だ。 そのことを王様に話すと、その表情で仮説が間違いではないとわかり、そこであることに思い当たる。 「王様、もしかして、パーティを組む相手も厄介払いされた奴ですか?」 その言葉に王様はすまなそうにコクリと頷き、カイトはやはりかと、片手で顔を覆う
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