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「パーティのメンバーは知ってますか?」
嘆いて居ても埒が明かないと思い、カイトが尋ねれば、王様は言い難そうに口ごもる。
カイトはそれを察し、王様が話しやすいように自分の仮説を告げる。
「わかってますよ、捨て駒の勇者の同行者は嫌われ者なのでしょう?」
「言いたくは無いが、その通りだ。戦うことを厭(いと)う僧侶と、傲慢な魔法使いがな。
性別は両方女性で、しかも見たところ、どうやら二人ともが勇者に惚れているらしい。」
困ったように告げる王様を見て、カイトは考えを巡らし、心当たりのある二人を思い浮かべる。
僧侶は主に回復や治癒、光の魔法や補助魔法に特化した職業であり、時には接近戦もする。
僧侶は血を浴びることを嫌うため、メイスやモーニグスターを職杖として装備し、荒くれ者や魔物と戦う。
だが彼女は違った。
回復や治癒の術は申し分ないのだが、相手を殺すこと、傷付けることを嫌い、敵味方構わずに手を差し伸べる。
またその性格ゆえ、自衛の術を持たず、持っていたとしても、使わないことが容易に想像出来た。
だから彼女は戦いには参加せず、相手が魔物であっても治癒、回復させるので同じ僧侶から嫌われている。
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