旅立ち

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魔法使いは傲慢で、仲間を巻き込んだり、周囲に被害を出すくせに、自分は十分強いと思い込んでいる。 魔法を使えるほど魔力を持つ者は少なく、大概の者は自分は特別だと錯覚してしまう。 しかし、傲慢や慢心は弱点でしかなく、魔導師団の団長が日々訓練をするように言い聞かせた。 しかしその話を聞かない者もおり、その中でも彼女は酷く、自分が団長より強いと思っている。 「新人の兵士と言うことになっているお主に頼むのは心苦しく思う。 たが、出来れば魔法使いと僧侶の性格を矯正し、勇者を魔王城へと送り届けてほしい」 「非常に面倒ですが引き受けましょう、城まで送れば、勇者は何とかなります。 大義名分を与えないようにしなければ、阿呆な貴族共が動き、この国は消えますからね」 カイトは王様の願いを引き受け、この国の未来を憂う、この太平を良く思わないのは人だけでは無いのだ。 勇者を送ることでさえ綱渡りのような状態なのに、攻め入れば相手に大義名分を与えてしまう。 何も恨み辛みを抱えているのは人間だけじゃない、向こうも同等の物を抱えている。 さらに相手の寿命は人間より長いので、当時のことを知っている者も多々ある。
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