序章~孤独の国~

3/3
前へ
/20ページ
次へ
 ソリチュードは昔、ビルなどが目立つ発展途上国だったが、ある日、他国の身勝手な王の命令により兵士たちに高く目立つビルや数々の建物を破壊された。    生き残った人々は兵士たちに盗まれることのなかった金や食料を持ち、安全な国に移動しようと考えていた。  しかしある日、1組のカップルが小さな赤ん坊をその国の付近へ置いて帰ったのを、そこの人々は見てしまった。生まれたての赤ん坊を、人気の無いこの場所に捨てていくのを…。    人々は、その赤ん坊も一緒に安全な国へ連れて行き、孤児院に預けようと考えた。  しかし、『この国に捨ててしまえば誰にも見つからない』と子供を捨てにくる大人はあのカップルだけではない筈。きっと情報が広がり、この地へ来る親は増えてしまう筈だと人々は確信した。    その後、その国の人々は政府に訴えた。     『私たちの故郷に子供を捨てに来る親たちがいる。生まれたての赤ん坊をゴミのように扱う最低な親たちがいるのだ。だから私たちは国を復活させ、独立する。捨てられた子どもたちを育て、好きなことをさせてあげたい。親にもらえなかった温かみを与えたい。このまま孤児を育てれば、私たちが死んだ暁には私たちの故郷は生き霊の巣窟となるだろう。生きていないと決めつけられた孤独な人々の居場所となるのだ』      人々の訴えに政府は納得した。そうしてその国と、世界の間に1つの誓いが生まれた。   《その国の人々がどんな行動や意見をしても、手を出すことはしない。何故なら彼らは生きてはいないと決めつけられた生き霊なのだから。》    そしてその国は、『ソリチュード国(孤独の国)』と名付けられた。      
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加