雨月は夜に咲く

～破滅～

　男の報告通り数十分後、ソリチュードの周りを囲むようにして、黒い群体蟻のような集団が一気に押し寄せてきた。

　殺意、恐怖、軽蔑、混沌…。

　色んなモノが混ざって、空気が澱む。

　ソリチュードの城壁の外にいた人間は、ソリチュードに侵入する兵士を減らす寸法でいたが、呆気なく兵士は城壁を越えていく。

　悲鳴や、叫び声、誰かの名前、血が飛び交う。

　歪んで、歪んで、歪んで…。

　黒いモノが渦巻く。見えない何かが、人々のココロを歪ませる。

　雨月の団員は何処だろうか？
　分からない。

　今のソリチュードには、黒い塊がただただ動いているようにしか見えないのだから。