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帰り道、私たちは早速区役所に寄って婚姻届をもらってきた。
まだ何も書かれていない真っ白な婚姻届には、この世の幸せが全部詰まってるみたいで、雪の部屋のテーブルに広げて何度も見つめてはニヤけてしまう。
「なんだよ、ニヤニヤして気持ち悪いな」
コーヒーの入ったカップを持って、雪が私の隣に座る。
「いーの!!」
「忙しくなるな。結納とか、式の段取りとか。あ、指輪も買わなくちゃな」
雪の微笑みが優しさを増す。
温かさがじんわりと心に伝わる。
「でも楽しみだね」
「…あ、そういえばさっき姉さんになんか言われてただろ。なんて言ってたんだ?」
雪の言葉に、しばし考えて答える。
出来る限りのいたずらっ子の微笑みで。
「…内緒」
「なんだそれ」
佐倉さん。
あの時の言葉、予言だったんですね。
思ったより早く実現するかもしれないです。
『次は真琴ちゃんがお母さんになるんだから、予行演習。…ね?』
-HAPPY END-
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