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風も無い良好なコンディションの中二つのグループをターゲットに放ち、ゆらゆらと止まるスモークが晴れた頃に圭司はマガジンを抜き、チャンバーのアモを取り出す。
伏せた体勢から立ち上がり、空になったSOCOMⅡを右肩に担ぎながら、ターゲットを貼り付けた地点に向かい歩き出した。
それを見たブランドンも、エクリプスのトリガー・ガードに人差し指を入れてぶら下げながら圭司の後ろをついて行く。
そして到着し、二人はターゲットを覗き込んだ。簡単なスケールを使い、開いた穴にあてがう。
胴体を狙い撃ったグループは約三センチだが、ヘッド・ショットのグループは凡そ二センチを僅かに下回った。
厳密には100ヤードより僅かに短い距離であるが、低倍率のダット・サイトで撃った結果である。
額面通りの、サブMOAのアキュラシー。
「おぉ、当たるねェ」
フリーな左手でチリチリと生えた髭を擦りながら、ブランドンは結果に感想を述べた。
「あぁ。今度は、ちゃんとしたスコープで撃ってみようかな」
そう満足げに圭司は呟き、二人は来た道を戻って行く。
圭司がバッグにSOCOMⅡを置くとブランドンはすぐさま断りを入れ、銃とマガジンを受け取ると揚々と射撃を始めた。
先の圭司とは違い、フロント・ヘビーなSOCOMⅡのマズルを軽々持ち上げてのオフ・ハンド・シューティング。
元来大口径スコープの似合うそれにダット・サイトの載ったショート・モデルが次々とケースを吐き出し、室内へのエントリーでなければCQBにも対応できかねない。
そして、件の男に正に似合う銃は、今は圭司が握っていた。
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