SUB-MOA

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 無骨だが何処かスマートさを漂わせる、またはその逆の表現も出来そうなSA58 OSW。  テーブルの上に無造作に置かれたマガジンの一つを掴みそのまま挿入すると、その脇に沿うボルト・ストップを操作して初弾を装填する。  胸に近い位置にパラ・ストックのトウをあてがい、そこを支点として回転させる様に構える。  左手はリコイルに備えてかM910Aをがっぽりと掴み、セイフティを解除。NFAモデルである為、フルオートまであるセレクターはセミオートにセットされた。  些か遠い先の100ヤード地点のターゲットを敬遠した圭司は、ブランドンが置いた近距離にあるターゲットにマズルを向ける。  シングル・スタックのハンドガンとは言えマガジン数本分のブレットを全て受けたそれは既にスイスチーズの如く穴だらけだが、黒地に白のラインでエリア分けされたマン・シルエットは意に介する事など無い様に佇む。  黒いチークパッドにしっかり頬付けをしM4Sを覗き、シルエットのセンターにダットを合わせた圭司はSOCOMⅡよりもやや思い切ってトリガーを引き絞った。  直後重厚な発砲音と共に、SOCOMⅡの蒸気機関車の様に噴き上げるのではなく周囲に撒き散らす様にブラストが暴れまわり、猛烈にマズルを押し返す。  己の体格を筋力でカバーした圭司は、体勢を整えつつ軸足を少し開きながら後ろへ、腰を柔らかくしながらより落とし、やや前屈姿勢になる。  リコイルを受け流す通路を肉体に構築すると、再度エイムしたターゲットに向かいダブル・タップで撃ち込んでいった。  リズミカルな二発ずつの発射音が突如一発で途切れ、ホールドされたボルトと共にそれが最終弾である事を周囲に伝える。  トリガーから指を離しレシーバーに沿わせると、小振りなマガジン・キャッチを左手の親指で押してマグをリリース。  M14と似たストレートな20発マグをテーブルに戻し、今度は長く先が湾曲した30発のマガジンをOSWに挿入。そして再びボルトを解放し、大きな穴が空きつつあるターゲットに向かった。
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