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そうして思い思いに二人が互いの銃を撃っている内、辺りを真上から照らしていた太陽は傾き、そしてその頃には共に銃のクリーニングに入っていた。
SA58 OSWを終え、キャリー・ガンであるエクリプスの内部の汚れと格闘しながらブランドンが口を開く。
「しっかし、お前大丈夫なのかよ? ソイツだって結構したんだろ。ジャパニーズは倹約なんじゃないのカ?」
SOCOMⅡにパッチを通していた圭司は、その問い掛けに一瞬動きを止め、何でも無かったかの様に再開して話し出した。
「良いんだよ。特別研究員だか何だか知らねーけど、親父の奴イイ金貰ってるクセして仕事の虫で自分じゃ殆ど使わねーんだし。これだって、家に帰って来ない代わりに渡された分で全く問題無いんだ」
そう言って、色が変わらずにチャンバーから顔を覗かせたパッチを見て、クリーニングロッドを引き抜くと――薬品が飛び散らない様ボルトとで挟んでいた――カバーを取り去り、コックされたハンマーを戻す。
エクリプスの清掃と注油を済ませたブランドンも、新しいフルロードのマガジンを挿入して滑らかになったスライドを引きアモをチャンバーへ。
取り外していたカイデックスのヒップ・ホルスターとマグ・ポーチを腰に付け、コック&ロックのキンバーと三本の予備マガジンをそれぞれ入れる。
そして剥き出しのそれを隠す様に袖の無いタクティカル・ジャケットを羽織り、SA58 OSWを放り込んだガンケースを手からぶら下げた。
「そんなもんかい。景気イイな!」
「お前にゃ負けるがな」
一つ遅れて帰り支度を終えた圭司は、投資や金融の利益で得た膨大なコレクションを持つブランドンにそう返し、ケースとバッグを持ち上げた。
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