SUB-MOA

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 スラリと伸びた5インチのバレルが、場違いな近場――ブランドンが事前に用意していた所――にあるターゲットを見据える。  力強さとスマートさが同居するかの様な、流行のカスタム・1911ピストル、キンバー エクリプス カスタムⅡ。  トリガーが引き絞られ、ハンマー・ダウンと共に一発。ショート・リコイル、ケース・エジェクション、フィーディングそして、スライド・バッテリング。  一遍のサイクルをこなして再びマズルがターゲットを向いた刹那、二発目の10㎜ブレットが一発目の着弾点すぐ左上を貫いた。  強力な10㎜ auto、それも1200fpsを超えるハイ・ベロシティな200gr JHPでのダブル・タップ。  人並み外れたブランドンの体格とパワー、そして相応のテクニックがそれを可能とする。  深味のあるブルーのシューティング・グラスの横をニッケル・コートのシルバーに輝くケースが飛び去り、離れた地面でステップを踏む。  その間に前方を警戒、胃の前辺りにガンを保持し、左右の背後に目を配る。  一連の動作を流れる様な鮮やかさでこなしたブランドンは再びアイソースレスに構え直すと、ペーパーに描かれたシルエットの穴を増やし始めた。  一方、その隣で圭司はM14用のストレートな20発マガジンに、168gr、BTHPブレットのついたマッチ・グレード・アモを詰めている。  合計三本のマガジンをフルロードし、その一つをSOCOMⅡに装着。ホールド・オープンしているオペレーティング・ハンドルに右手をかけ、少し引いてリリース。初弾を装填する。  M3のスイッチをオン、キャップを跳ね上げる様にオープンさせ、バイポッドを開くとテーブルの前に出で、それをプローンで構える圭司。  そして百ヤード先に備え付けられた円形の防弾鋼板に向かい、軽く、クリスプと言うに尽きる心地良いトリガーを引き絞る。  移植された多気孔マズルブレーキからスモークを吹き上げ、空気を切り裂き飛翔した.308が見事にプレートの中心を捉え、豪快な音で返事を返した。
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