SUB-MOA

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 武道で言うところの残心に当たるフォロースルーをはさみ、リラックスした呼吸を維持しながら再び鋼板をエイムする。  そして二度、三度と圭司がトリガーを絞る度、吸い込まれる様にそれに着弾していく。  十三によって100でのサイトインが済まされていたSOCOMⅡに満足した圭司はそれを自立させて離れ、荷物の中にあるマン・シルエットのペーパー・ターゲットを取り出した。  そして先程撃った鋼板を含め、いくつかのターゲットが存在する100ヤード地点に出向くとそれを貼り付け、再びSOCOMⅡの元へと戻る。  再度プローンで構えるが、今度はバイポッドをストックに沿う形で折りたたみ、雑多な荷物の入ったバッグの上にレストした。  ベンチには及びもつかないが、ソフトでフレキシブルなバッグがより大きくライフルを支え、硬い地面でのバイブレーションを考慮する。  圭司が準備をしている間に数本のマガジンを消化したブランドンが、ホールド・オープンしたエクリプスを片手にそれを見物する。  一方の圭司はストックにトリガー・フィンガーを添え、精神の集中と――筋肉の硬直は悪影響を与える為――リラックスに努め、エイム・ポイントはターゲット中央、人間の鳩尾辺りに2MOAのレッド・ダットが合わせられる。  その次には爆音が轟き、一瞬で圭司のコーディネート以上に真っ黒なシルエットを貫いて真後ろにある分厚い金属板に全ての運動エネルギーを伝え切りブレットは落下した。  射撃地点ではストック後方下部を握り直した圭司が、鋼板を相手にした様に、しかしややスローなペースで撃ち込んでいく。  合計で五発を撃ち終えると、今度はシルエットの頭に狙点を移し、鳩尾と同様のサイクルをこなした。
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