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「あたしが言うことよく聞いて………」
「はいっ!!」
大きく頷くくれはに向かい、ゆづは白い指先を向けた。
今日はどこまで行っているのだろうと、姉としても心配になる奔放な妹の行方。
小さな笑みを浮かべてはっきりと言った。
「今、あんたの後ろにいる」
え? 意味がよく分からないと、振り返ったくれはの後ろから、かずはが突進してきたと思ったと同時。――腰に力いっぱい抱きついてくる影。
「い…っきゃぁあああ…っ! よかったですぅ…!!」
衝撃で軽く吹っ飛んだくれはを、ゆづは軽く右に避ける。したたかに打ちつけた腰が痛かったが、くれはは可愛い妹が無事に見つかって、ほっと胸を撫で下ろした。
「おねえちゃんっ! 家に戻ったら居ないから探しに来ちゃった」
えへっと緑の瞳が細くなる。――探しに来たのは、確かくれはの方であった筈だが、居れ違いになっていたらしい。
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