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かずはの指には、瑠璃(ラピスラズリ)が嵌められている。くれはの持つ水晶とは石が違うだけで、まったく同じデザインで作られていた。
まじまじと見る二人に、軽く手を振りながら、ゆづは明るく続ける。
「あんた達だったら、きっと大丈夫だよ」
ウインクすると簡易式の机と椅子を畳み、コンパクトに収納すると「じゃ、またね」と片手を上げ、ゆっくりと二人の前から去っていく。見送った後、二人は互いの指先を見て、それから顔を見た。
「そうです…忘れかけていましたが…」
ぽんと手を打って、そもそも探しに来た理由は、父から話があったからに他ならない。ゆづが指した未来に関係があるのだろうか。くれははふとそう思ったが、無邪気な妹の顔を見て思い直す。
《そうなのです! 私はお姉さんなのだから、しっかりこの子を守らなきゃ…っ!》
ぐっと拳を固め、決意を改め、何度もこくこくと頷きを繰り返す。隣で何やら空を見て呟く姉の裾をかずはは軽く引っ張った。
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