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「どうしました?」
「…むしろおねえちゃんが、どうかしたかって感じなんだけど……」
困ったような、言いにくそうに言う。くれはは妹を抱きしめてみた。
「何があっても、かずはのことはおねえちゃんが守ります…」
「………」
何かと外出が多い両親の代わりに、かずはの一番側に居たのは間違いなく、くれはや家人たちである。かずはは嬉しそうに笑うと、姉の背を抱き返した。
「私もおねえちゃんが一番、大好きだよぉ!」
姉妹愛である。この姉妹の仲の良さは、周辺では意外と有名であり、くれはは特に心配症で、かずは無鉄砲な部分が何かの引力になっているようだ。
「じゃ帰りましょうか?」
「うん!」
姉妹というより、母と娘みたいに見える。しかしそれは二人には関係ないらしい。手を繋いで魔法ではなく、徒歩で家路に向かう。
途中であれこれと余所見しては、足が止まるかずはと生来からかなり呑気なくれははまっすぐ帰っても30分以上する道を、何倍も膨らませて戻ってきた。
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