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でも連日の花見客が出したゴミを、団地のゴミ置場に分別もせずにひとまとめにして置いて行くので、溢れている可能性が考えられた。
私は横たわるゴミ袋と女の顔を交互に観察した。
どうも好きになれそうな顔じゃない。
悪びれもせずに挑戦的な目つき。
「手伝ってるってゴミをこんな所に埋めちゃダメでしょう」
多恵子さんは物怖じせずに女を戒める。
「そこは見逃してくれると助かります」
「……千里さんは? あなたと話ができるとは思えないわ」
「勤務中よ」
「直美ちゃんが行方不明なのに?」
私が聞きたかった事を多恵子さんはそのまま聞いてくれた。
「直美ちゃんは私が保護したわ。今は部屋で寝てる」
女は涼しげに答える。
信じる気にはなれなかったけど、女には躊躇などの隙が一切なかった。
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