毎年華やかに

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多恵子さんは逮捕された。 ご主人はそれでも多恵子さんを愛しているようで出所をずっと待つみたいだった。 私はそんなに寛大じゃなくて、悟を許せずに離婚に踏みきった。 弥生は私が引き取って実家で一緒に暮らしている。 直美ちゃんをいじめていた件はきちんと問いただして叱った。 子供は残酷だけど今から卑怯さを持ったままで育って欲しくない。 多恵子さんは逮捕される前に、自身の人生を桜に例えて私に話してくれた。 花を一度咲かせたら後は汚れるだけって。 でもね、多恵子さん。 汚れたとしても、桜は毎年咲くんだよ。 だから私も葉桜になろうと、毛虫に蝕まれようと、また花を咲かせるわ。 何度も何度も。
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