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ビニール袋を両手で抱えててコンビニから出てきた女の子は、無機質な光に群青色の髪を照らされながら、くるりと回って顔を上げる。
当然目が合った。
少女がかすかに微笑んだように見えた。
瞬間。
ビニール袋が飛んできた。
……な、なんだ!?
なんとか受け止め、再び外を見ると長いマフラーをなびかせながら黒の中に消えていくあの子のうしろ姿が見えた。
なんだか、よくわからないけど、
頬が緩むのがわかった。
ビニール袋を漁ると中から大学ノート、おもちゃのロードローラー、中華まん、リップクリーム…
ああ、統一感もなくて……全く、変だな。
こんな変なことが起こるんだな、この此処は……
捨てるのはまだ、早すぎる
中華まんがやけにしょっぱいのは、中身が真っ赤だったからに違い無い。
くそ…ノドが乾いたじゃないか。
何か、買いに行こう。だから溜めた水で顔を洗って証拠隠滅をしてから、
外に出よう。
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