55人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の住んでいるこの部屋はちょうど24時間営業のコンビニエンスストアの真上にある。
だからこんな真夜中でもこの部屋唯一の窓からは、無機質なきらびやかさが入ってくる。
大嫌いだ。
だから早く此処から離れてしまおうと思い、その準備をしていた。
たいした事はしない。
蛇口をひねって水を出す。
止める。
水が溜まったからじゃない。
蛇口の前を離れる必要が出来たからだ。
理由はコンビニエンス・・・長い。
コンビニに入っていった小さい人影を確かめたかったからだ。
真夜中だが、別に不思議なことじゃない。
こんな時間に子供は出歩いたりしないなんて幻想みたいな常識だ。
つまり嘘。
だから、俺が蛇口を止めてまで窓の近くに行って確かめたかったのは、その子供自体についてだ。
見覚えがあったのだ。
蛇口の前コンビニに向かってくるのを一瞬見ただけだが、思わず窓に近づきたくなる人物にとても似ていたのだ。
遠い昔に同級生だった・・・・・・まどろっこしい言い方はやめよう。
要するに「初恋の相手」という奴に。
最初のコメントを投稿しよう!