ホワイトライトと群青と

5/6

55人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
来た。 そんな、いや、ありえなくは無いけど…えっ? 今日は熱帯夜だよな?なんでマフラーしてるんだあの子?しかも妙に長いし。 なんか、変な子だな。 それより、俺が変だな。手に持っていたものを投げて捨てて、窓に駆け寄ってるなんて可笑し過ぎる。 気の早い自動ドアが開く。 まだ髪は黒い。そう見える。 あと一歩……止まった。 不意打ちだった。目が合った。 もちろん、向こうが顔を上げたから。 たしかにありえないことじゃない。 けれど、実際、真夜中に子供が一人でコンビニまで歩いてきて、自動ドアの前で止まって、上を見るなんて、 ……とても変だ。 目を逸らすことなど出来ず、特にこれといった表情の無い顔をみる。無表情とは違う。 考えても無かったがどうやら女の子のようだ。 あ、歩いた。 一瞬の青を俺の目に焼きつけさせながら、自動ドアの中に消える。 やっぱり、勘違いじゃなかったようだ。 あの子は群青を持っている。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加