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いきなりのことに驚き、最初は怒りしか感じなかったが、顔を見て気付いてしまう。
こいつ…女だ……。
考えてみれば、確かに声も高かった。自転車の篭に施されたものから新聞配達をしていたこともわかる。
「じゃ、私はこれで」
慌てたように走り去って行くその女は、俺と同じくらいの年頃に見えた。
また会うような気がする…。
予感めいたそんなものが、頭の中で反響する。
俺は、それを打ち消そうと頭を振り、会いたくない、と思った。
自転車で撥ねられたり、轢かれたりは…嫌だ…!
何故か強い意志の下で歩く。
俺は何をしに来たのだろうか。
ゲームを買いたいだけのはずなのに。
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