道程

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俺は、ファーストフード店に入ってから、常備品を取り出した。メモ帳とペンだ。 外出時は必要な時も出てくるために持ち歩いている。 「いらっしゃいませ」 『俺、話せないんでメニュー貸してもらっていいですか』 店員は驚いたような顔をしていたが、すぐにメニューを差し出した。 「どうぞ」 『じゃあ、指で示すのでお願いします』 そう書いて、値段を考えながら示し、メニューを返した。受け取った店員の確認の声がしていたが、俺の耳には届かなかった。 ずっと、先程出会った女のことを考えていたからだ。 そんな俺にお構いなく、会計と頼んだ品とが来た。
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