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空は、意に反して晴れていった。
しかし、風が木々を揺らし、ざわめかせている。それが俺に平穏を与えた。
冷たい風だ。
等と、当たり前のようなことに対して感嘆の息を漏らす。と、それに応えるかのように落ち葉がひらひらと舞い狂いつつ地面へと向かう。
何も考えない内に、俺の手は伸びていた。…その葉へと。
うん、そうだ。少し、書いてみよう。
そう思い、メモ帳とペンを取り出す。それから手の平の上の落ち葉を見、書き始める。
先程のやり取りとは違う。ペンは軽快な音を立て、メモ帳を舞台に踊る。
風が揺らすブランコも、今は興味の対象にはなり得ない。
詩を書く時の集中力だけは、自信があった。
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