独り

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部屋は静かだ。話す者が、居ないからだろう。 俺は、この静けさが好きで堪らないのだ。 あれほど騒がしい奴だったのに。 呆れと、ほんの少しの悲しみを感じる。 俺の顔からは自然と、自嘲気味な笑みが漏れた。 そういえば、今日はいつなのかと思い起こす。 カレンダーを見れば、予定を入れるべき欄には何も書いては居なかった。数字だけが、並んでいる。 俺が書き込まないだけだ。 冷えた感情は、より一層この部屋を殺風景に見せる。 机上に散らばった、ノートと鉛筆と画用紙。テレビに繋がったままのゲーム機。壁に掛かる時計。隣に置かれた本棚には、整理整頓のされた本達が並んでいる。
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