独り

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それで結局、何日なんだ? カレンダーに無造作に歩み寄り、指で辿ってみる。 そこで漸く思い出す。 そうか、もうすぐ三月か…。 三月と言えば、俺の誕生日がある月だ。 まあ、ほとんど何も無いので自分でプレゼントを買うくらいだ。 早めに買うか。 俺は、寝癖のついたボサボサな頭を軽く解かし、素早く動けるように着替える。そして更に、帽子を被る。 財布の確認と窓の鍵を外すことを忘れず、この足で玄関を目指す。 俺の部屋が一階にあり、他の家族の寝室が二階にある。見つかる可能性は低いが、注意を怠ることは出来ない。 絶対に、会いたくない。 何年間もずっと、俺は家族と会話することもなく生きてきた。
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