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その光景は、先程までの考えを全て否定させた。
『こんな大量の本、有り得ない…』
やはりこの建物はおかしい。分かっていたことを再確認させられた。
外見ではこんなにも広い空間はなかった。空間か次元が違うとしか思えない。
その日二度目の驚愕をしていると、横から楽しげな笑い声が聞こえた。
はっとして横をむくと、楽しげな声のままの表情を浮かべて、こちらを見ていた。
「いやぁ失礼。別に、貴方がおかしい訳じゃないんです。
此所を見た人は、皆さんが驚きますから。ただ驚いていただくと、嬉しいですね。
集めたかいがあった。と感じます。」
「え…自分で集めたんですか?
これだけの量を?」
「ええ、勿論。
素晴らしいでしょう?
これだけ集めるの多大な歳月を要しました。
さて立ち話も何ですし、歩きながら話しましょう。」
そう言われて、本棚の間を抜けて歩いて行った。本棚をみてみると、実に多種多様な本があった。日本語の書物は勿論、英語、フランス語、イタリア語、ヘブライ語、アラビア語、中国語、ロシア語など、果てには全く分からない言語で書かれた本や、
地球とは根本的に違う文字体系の本もあった。
その人は前方でゆっくり歩きながらも得意げに、あちらこちらを指さしながら本について喋っていた。
あれはセリアワールドの始祖の教典のコピーで、こちらはディスフィアーの冥王の秘宝の、死者の書なんですよ。
なんて言ってるが、言ってることの意味が全く分からなかった。
セリアワールド?ディスフィアー?
始祖に冥王。
自分の知らない単語ばかりだ。
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